大阪市「旅館業条例」の規制強化案と今後のスケジュール

大阪市内における特区民泊の新規受付が令和8年5月29日をもって終了したことに伴い(現地調査は6月19日をもって終了。6月30日までに認定交付を受ける必要あり。)、今後は民泊事業を検討する事業者が旅館業法に基づく許可へ移行し、施設数が大幅に増加することが見込まれています。これを受け、大阪市は騒音やごみ等に関する近隣住民とのトラブルを未然に防止するため、「大阪市旅館業法の施行等に関する条例」の大幅な規制強化(一部改正案)を発表しました。本記事では、事業者が直ちに把握すべき3つの改正ポイントと、今後のスケジュールを解説します。

1. なぜ旅館業の規制が強化されるのか?(改正の背景)

現在、大阪市内の旅館業施設に対する騒音・ごみの苦情は少数にとどまっています。令和7年度の実績では、旅館業施設(1,856施設)に対する苦情が15件であったのに対し、特区民泊(8,360施設)に対する苦情は338件に上りました。 今後、特区民泊の受付停止により新規事業者が旅館業へ流れ込むことで、苦情数の大幅な増加が懸念されるため、特区民泊と同等以上の厳格な対策が求められることになりました。

2. 条例改正案における「3つの重要な規制強化」

今回の改正案では、構造設備、衛生措置、近隣周知の3つの軸で見直しが行われます。

① 施設の構造設備基準の厳格化(木造・鉄骨造の原則禁止)

騒音苦情の多くが木造や鉄骨造りの建物(特に長屋)で発生している実態を踏まえ、厳しい構造要件が追加されます。

  • 旅館業施設(管理事務室を除く)が入る建物に現に人が居住する住戸が含まれる場合、当該施設の構造は「鉄筋コンクリート造(RC造)」または「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」であることが許可要件となります。
  • 防音性能が鉄筋コンクリート造りまたは鉄骨鉄筋コンクリート造りと同等以上であると証明できる場合や、建築基準法上の用途が適合していると証明できる場合など、市長が認める例外を除き、入居者がいる木造アパート等での許可は原則下りなくなります。
  • 本規定は、改正後の新規申請や増床を伴う構造変更に適用されます(事業譲渡や、改正日までに建築計画届を提出し認定済みの施設は除かれます)。

② 衛生措置基準の追加(スタッフの常駐義務化)

適正な運営を確保するため、人的な管理体制が強化されます。

  • 宿泊者が施設を利用している間、営業者、代理人、または従業員等が当該施設(または管理事務室:旅館業施設から1000m以内)に常駐しなければなりません。
  • 無人運営(セルフチェックイン型)の施設については、宿泊中も管理事務室のスタッフが、施設内を防犯カメラ等で確認しながらの常駐を求められます。
  • 【実務上の最大リスク】 この常駐義務は新規施設だけでなく既に旅館業の許可を受けている全ての施設も適用対象となります。

③ 近隣住民への事前周知義務の対象拡大

住宅をそのまま転用する施設に対し、特区民泊と同様に近隣説明が義務付けられます。(ただし特区民泊と異なり、説明会の開催は必須ではない)

  • 周知が必要な施設の条件が、現行の「総客室面積が33㎡未満」から「総客室面積が200㎡未満」へと大幅に拡大されます。
  • 従来の周知事項(営業者氏名、施設名称・所在地・営業種別、苦情等対応者の氏名・電話番号、廃棄物の処理方法)に加え、「騒音防止方法」「火災等の緊急時対応方法」を周知することが義務付けられます。
  • 本規定は改正後の新規申請・増床施設が対象となります。

3. 今後の想定スケジュール

本改正案は、以下のスケジュールで進行する予定です。

  • 令和8年10月: 条例の公布および施行

改正案は現在パブリックコメントの段階であり、内容が変更される可能性もありますが、特区民泊の新規受付終了(5月29日)と入れ替わる形で、旅館業のハードルが引き上げられます。特に、既存の無人旅館業施設に対して「常駐義務」が課される点は事業継続に直結するため、今後の動向を注視し、早期の体制見直しを図ることが不可欠であると言えるでしょう。

📝 公式参照元

「大阪市旅館業法の施行等に関する条例の一部改正(案)」についてパブリック・コメントを実施します– 大阪市公式ホームぺージ

大阪市旅館業法の施行等に関する条例の一部改正(案)– 大阪市公式ホームページ

大阪市旅館業法の施行等に関する条例の一部改正(案)について– 大阪市公式ホームぺージ

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